「今日が新しい人生の初日」〜旅の始まり

「今日が始まりの日」−そんな日を、人生で何度迎えたことがあるでしょう? 幼稚園の入学式、部活動の初日、初恋の人とのデート、社会人としての一日目、結婚した日・・・ 


2003年9月、オロロン=サント=マリーという、ピレネー山麓のふもと、スペインとの国境にほど近いフランス南西部の小さな町で、わたしは“旅の始まりの日”を迎えました。スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指して「カミーノ・デ・サンティアゴ(サンティアゴの道)」*という巡礼の旅を1ヶ月かけてしました。 


カソリックの女子大に通ってはいましたが特に敬虔なカソリックというわけではありません。そのわたしがなぜ?というと、ある時「星の巡礼」(パウロ・コエーリョ著)という本でその巡礼路のことを読み、いつか歩いてみたいと思ったからでした。 


カミーノ・デ・サンティアゴについては、スピ系ハリウッド女優のシャーリー・マクレーンも、わたしが感化されたのと同じ本を読んで実際に巡礼路を歩いてノンフィクション的な小説を書いていました。 どの本も、その巡礼路を歩くことで不思議な体験を通して “成長”ができることを示唆するものに仕上がっていました。なので、行く前からとても期待度が上がっていました。 



わたしなど、もともと大したことをしているわけではないのですが、人間なにかの節目でないと、まとまった期間の休みをとり、冒険的?な旅など、なかなかできないものです。 


それまでのわたしは、その時にできる一番ベストと思える、と言ったら聞こえがいいですが、行き当たりばったり的なキャリアパス(仕事の路)を歩んでいました。新卒でなった外資系商社のトレーダーは意図があったので別として、独立してからの外国語学校翻訳会社の設立運営、そして代理店開拓とトレーニングの全国展開は”成り行き”でしたことでした。ある時、「わたしは、自分の路(みち)を歩いていない」ということに気づき、自分の本当の「一生の仕事」を探すことにしました。数年かけて自分の適性・才能・経験を活かせる“自分のキャリアの路(みち)”を探して、やっとあたりをつけたのが「コーチング」でした。自分の思想にあったコーチングを求めて、アメリカに学びにいくこと、そして、それまでの仕事をスッパリやめることを決めた時、密かにそう思ったものです。「チャンス到来・・・」 


毎日20〜40キロ歩いて移動し、1日とて同じ場所にとどまることなど、ない旅。どの経路を通るとだいたい帰国便に間に合うか、という目算程度しか予測がつきません。、”わたしの本当のキャリアの路”を歩むにあたり、このカミーノ(道)を歩むことは、もっとも合っているように思えました。


さて、初めてのヨーロッパ。スペイン語はある程度準備したものの、フランス語は全くダメ。 シンガポールを経由し、やっとついたパリの空港からバスに乗り、鉄道に乗って更に5時間、寂しげな小さな町につきました。 民宿の近くにあった英語が通じないビストロでドキドキしながらも、フランス郷土料理が食べられて安心して就寝。翌日、巡礼事務所で巡礼者証明書であり各所でスタンプを押すクルデンシャルなるものを発行してもらい、意気揚々と歩き始め・・そして、テレビでしか見たことのない(トップ写真のような)ピレネー山脈を目にした時は、本当に感動したものです。とにかく、わたしの1ヶ月に渡る「星の巡礼」が始まったのでした。 


その巡礼の旅についてはまた別な機会に書くとして・・・


オロロン=サント=マリーとピレネー山脈のことを思い出したのは、実は、今日が「わたしの(あることの、記念すべき)初日」だったから以外に、理由が思い当たりません。 


ああ、今日、ここからが新しい“旅”の始まりか・・・そう思いながら、うちの庭から雪のかかる浅間山を見ていたら、人生でそう何度も歩くことは無いであろう、あの巡礼の旅の初日で見たピレネー山脈を思い出したのです。 


なんの日の初日か・・・それについては、まだ聞かないでほしい。えっ?これだけ書いておいてナンノコッチャ!と怒られそうだけど、本人だけが静かに心を決めた最初の日というものが、あってもいいではありませんか。 「今日が人生の節目。今日からわたしは変わる。」こう思うことは、いつだってできるし、価値があることですから。


誰でも命尽きるその日の朝まで、そう決めることは出来るし、実際にそうやって新しい人生を作っていくことができるでしょう。 今日は、わたしの新しい人生の初日。新たな旅の始まりです。


今日も人生の扉を開いて出会ってくださり、ありがとうございます。 

”人生の旅”のいいところは、思い立って決心したら、いつでも始めることができること。 


*サンティアゴ・デ・コンポステーラは、スペインの北大西洋に近い都市で、聖ヤコブの位牌が祀られている大聖堂があり、カソリック教ではローマ、エルサレムと並ぶ聖地とされています。そのため古くからその聖堂を目指してヨーロッパ各地から多くの人が巡礼することで有名です。 

Mika Nakano Official Blog

軽井沢から、ライフ・文化・自己実現・現実化・コーチング・ピープルビジネスのエッセイをお届けしています。

0コメント

  • 1000 / 1000