光と影〜シャドー

人間の「“光と影”」−このテーマが、わたしは好きだ。

学者でもないわたしが専門用語を使って語ったり、ただ聞いたことをそのまま鵜呑みにして「右から左」で話すのは、はっきり言って好きじゃない。だいたい、怪しい。それに、そういう類の情報が世の中にはあふれていて、これ以上いらないと思うから。


けれど、この「シャドー」だけは、別だ。文学的でもあるし、人間に味(テイスト)を与えているし、見方によっては宗教的でさえあると思う。世の中で話題になる映画の隠れテーマがこれだという場合も結構ある。


十数年来わたしが専門としているコーチングのこだわりは“深さ。”つまり、表面的な行動ではなく、行動を起こす前段階の内面の部分だったり、言葉にしていない考えや気持ちが作られるシステムの部分だったり。そういったコーチングをしようとすると、どうしても精神分析や心理学、脳科学や生理学のあれこれも必要になるのだけど、その中でもこの「影(シャドー)」という概念とその対処法は、“群を抜いて”重要だ。


影(シャドー)とは、スイスの精神科医・心理学者で、分析心理学(ユング心理学)の理論を創設したカール・ユングが提唱した概念です。人間には「ペルソナ」といって“人前に見せている自分”(意識的に“こうありたい”“こう見せたい”として顕在意識でわかっている部分)と、「シャドー」といって“心の奥底にある、普段は抑圧され意識されない負のイメージの自分”(いわゆる“潜在意識”や“無意識”に属していて、嫌悪感を持っている自分の“ある部分”)がある、ということを提唱しました。難しそうに聞こえますよね。ざっくりと言うとシャドーとは、自らの中に存在する「他人に見せたくない部分」です。さらにそれに対する嫌悪感が強い場合は、否認(無意識に“そんなものは、存在しない”としてしまうこと・“そんなものが自分にあるなら、死んだほうがマシだ”とまで思っていること)してしまうほど抑圧している「嫌な部分」です。まさに「影」の存在と呼ぶにふさわしいわたしたちの一部分です。


わたしたちの多くは、そんな部分が自分にあるとも、シャドーという存在があることも知らないままでいることが多いです。けれども、何かが上手くいかない、何かがしっくりいかない、というようなことがあれば、多かれ少なかれ、このシャドーが関わっているものです。自己実現の観点でいうと「(放って置かれたままのシャドーは)障害」となります。だから、今いるところよりももっと上、次のステージに行こうとしたら、このシャドーの存在を見ていくことは、一つの有効なアプローチだとわたしは思っています。ザ・ライフアカデミーの学びの大きなファクターでもあります。


光と影はセットなので、双子の兄弟のようなもの。光だけの世界(例えば「天国」「極楽」など宗教的な定義で言われるところ)には影は存在しませんが、地球上では、光あるところに必ず影ができ、わたしたち人間にもそれが当てはまる、というものです。


「光と影」を“性質”の視点から見ると「愛と怖れ」となります。「正義と悪」のように“対称”になっています。こう見ると、世の中白か黒かでまっぷたつに別れる、二元性の世界に思えます。が、これを別なところから見ると「光の不在が、影」であり「愛の不在が、怖れ」なのだとわかります。


双子の兄弟の話に戻りましょう。 

光と影の双子の兄弟は、一人が“正義”もう一方が“悪”とされることが多いです。でも、ここに落とし穴があります。わたしたちは悪者を排除し、正義を勝たせたがりますが、元々は一緒の双子です。双子の兄弟のどちらか一方だけを大切にし、もう一方をいないことにすると、その子達はどうなるでしょう?分断が起き、さらなる混沌さが増すのみです。


ヒーローを存在させるためには、悪者が必要とされます。要するに、互いが互いを補完しあって存在意義を作っているのです。ここに終わりはありません。正義は悪を作り、悪は正義を作る。元々は同じ母から生まれた双子の兄弟であることに立ち返り、分断ではなく、融合が必要とされるのは、こうした理由があります。


影は光を当てると、その闇の力が減じます。そして、自らの一部と受け入れることで闇は光と同化しわたしたちの内面で平和が増します。自己実現では「障害」が減っていきます。ザ・ライフアカデミーでは、このシャドーを扱うシャドー・コーチングを4週目のテーマにしています。ビフォー・アフターが最も大きな学びの一つです。 


今日も人生の扉を開いて出会ってくださり、ありがとうございます。 

AKB48も「光と影」を歌っていたのね・・・ちょっと違うかもしれないけど。 


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Mika Nakano Official Blog

軽井沢から、ライフ・文化・自己実現・現実化・コーチング・ピープルビジネスのエッセイをお届けしています。

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